全国の治療院関係者の皆さん、こんにちは。
あさがお整骨院・あさがおパーソナルラボ、治療一筋36年、院長の加藤秀之です。
整骨院の開業を考えている皆さん!
きっとその胸の内は、キラキラとした夢や希望で溢れていることでしょう!
30年前の私もそうでした。
そして、今なおそのキラキラは私の中で熱い炎となって燃え続けています。
しかし、その炎も、実は過去に何度か消えかけたことがあるんです───。
なぜかって?
それは、一時的に経営が上手くいかなかった時期があるからです。
『失敗談から学ぶ。治療院経営で重要なマーケティング戦略とは』の記事を読んでみてください。
「俺みたいになるな!」でお馴染みの某人気テレビ番組のように、私の過去の失敗から学ぶことで、皆さんはできるだけ成功に近いところに居てほしい…といつも願っています。
心のキラキラを、いつまでも持ち続けてほしいと思っています。
キラキラし続けるためには、成功しなければなりません。
整骨院に限らず、あらゆる開業の成功も失敗も、お金が一番の特急券です。
費用としっかり向き合えって把握していればきっと成功しますし、そのあたりがいい加減だときっと失敗します。
今回は、皆さんの整骨院の開業がスムーズに進むために、そもそも開業に必要な費用について簡潔にまとめることにします。
以前、『実体験からの助言付き!世界一わかりやすい整骨院開業までの流れ』という記事の中で、整骨院の開業には数百万円~1000万円の費用がかかる、というお話しをしました。
ここのところを、もう少し詳しく説明します。
目次
整骨院の開業にはいくらかかるの?その内訳は?
上記のとおり、結論としては一般的に整骨院を開業しようと思ったら、数百万円~1000万円というお金が必要になります。
全額を自己資金で用意できればベストですが、そんな人は普通はいません。(月に10万円ずつ貯金したとしても、100ヵ月=約8~9年かかります!)
通常は借入をすることで、資金を用意します。
借入については『超シンプル!整骨院開業の資金計画を、先輩院長が簡潔に解説』の記事で詳しく触れるとして、まずは何にそんなにお金がかかるのか把握しましょう。
まずは全体像です。
上にも書いた『実体験からの助言付き!世界一わかりやすい整骨院開業までの流れ』の記事の中で、次のように述べています。
- ・会社の設立にかかる費用
- ・物件を確保、取得するための費用
- ・内装を整えたり工事したりするための費用
- ・設備を揃えるための費用
- ・広告宣伝費用
- ・人を雇う場合、その採用費や人件費
- ・当面の自分の給料や施設のランニング費用
この中から、特に大きな金額がかかってくるものをピックアップして見てきます。
後で「え、これってそんなにお金がかかるの?!聞いてないよ!」とならないように、よく理解しておいてください!
整骨院の開業費用1:物件取得費用
「父が不動産王だから、ほとんどタダで物件が手に入った」なんてラッキーな人を除いては、ここにかなりお金がかかります。
たとえば、杉並区で面積20坪の物件で開業するとしましょう。
坪賃料の相場は1.9万円で、月額賃料は約38万円です。
すると初期にはこんな感じでお金がかかります。
項目 |
金額 |
備考 |
初回賃料 |
38万円 |
|
敷金・礼金など保証金 |
228万円 |
通常6ヵ月~12ヵ月分。 |
仲介手数料 |
38万円 |
上限は1ヵ月分。 |
火災保険料など |
3万円 |
|
合計 |
307万円 |
というわけで、物件取得費用だけでまず307万円がかかります。
整骨院の開業費用2:内外装工事費用
物件は借りただけではただの箱ですから、それを店舗に仕上げる必要があります。
ここは物件の状態や仕上げのイメージによって大きく幅が出てくる部分ではありますが、相場としてはだいたい坪10~20万円ほどだと言われています。
ここでは、比較的安価に抑えられたケースを想定してみます。
項目 |
金額 |
備考 |
解体工事 |
20万円 |
物件の現状によって変わります |
間仕切り・造作 |
50万円 |
|
左官・塗装・仕上げ等 |
20万円 |
|
看板 |
30万円 |
照明込み |
給排水設備工事 |
15万円 |
|
電気工事 |
15万円 |
|
空調工事 |
30万円 |
もともとエアコンが完備であれば不要なことも |
設計・デザイン・管理 |
20万円 |
|
合計 |
200万円 |
内外装工事費用で、200万円がかかりました。
これは坪あたりになおすと10万円ですので、比較的安いほうだと思ってください。
整骨院の開業費用3:医療機器・治療器具・備品
店舗だけでは開業はできませんよね。
ベッドや低周波治療器、パソコンやレジが揃って初めて院としての機能を持つようになります。
この内容はつくりたい院によっても大きく異なるところなので、ここではザックリとしたくくりで金額感をお伝えします。
ちなみに、機材等は新品・中古・リースなど様々な調達方法がありますが、おすすめは中古です。
新品は価格が高く、リースは条件によって結果として割高になるケースが多いためです。
また、『全て実例!整骨院の経営で失敗したコトから上手くいった施策』でも書いたように、高い機器を揃えればいいというものではない、ということはよく覚えておいてください。
項目 |
金額 |
備考 |
ベッドなど |
100万円 |
|
治療器や医療機器など |
100万円 |
中古を想定した価格です |
パソコンやレジなど |
20万円 |
|
カーテンや椅子など |
10万円 |
|
合計 |
230万円 |
備品や中古機器類を揃えるのに、230万円ほどかかります。
整骨院の開業費用4:宣伝広告費
院を立派に設えただけでは、患者さんは集まってくれません。
整骨院ビジネスは当然、患者さんありきですから、開業一発目の宣伝広告は非常に大切なところです。
最低でもウェブサイトを整え、チラシを撒く必要があります。
ちなみに、集客方法等については以下の記事がとても参考になると約束します。
『新患が来ない!それは地域に治療院の存在が気づかれていないことがほとんど』
項目 |
金額 |
備考 |
ウェブサイト制作 |
50万円 |
|
チラシ作成・配布 |
5万円 |
|
その他カードなど |
5万円 |
|
合計 |
60万円 |
最低限の宣伝広告費で、約60万円かかることがわかりました。
整骨院の開業費用5:当面の運転資金
開業早々、いきなり黒字経営でモリモリ儲かる、というわけにはいきません。
そもそもコンビニよりも多いといわれる治療院業界において、オープンから患者さんが溢れかえるというのは難しいでしょう。
集客には少し時間がかかると思っておきましょう。
さらに初期投資は膨らみますし、その分も回収しなければなりません。
ここでは表にはしませんが、固定のランニング費用で約50万円かかると想定した場合、4~6ヵ月分の運転資金を確保できると安心でしょう。
そうすると、当面の運転資金としては約200万円ほど必要だということになります。
整骨院の開業費用:合計
これまで見てきた費用を合計してみましょう。
項目 |
金額 |
備考 |
物件取得費用 |
307万円 |
|
内外装工事費用 |
200万円 |
|
医療機器・治療器具・備品 |
230万円 |
|
宣伝広告費 |
60万円 |
|
当面の運転資金 |
200万円 |
|
合計 |
997万円 |
ということで、杉並区で20坪の整骨院を開業しようとした場合、約1000万円の開業費用がかかることがわかりました。
もちろん上記の各項目は様々な条件によって上下するので、一概にこのとおりではないまでも、概要としてはイメージを掴んでもらえたかと思います。
どうでしょう?思ったより安かったですか?高かったですか?
また、予想外の費用項目はありませんでしたか?
ここで大切なのは、「こんな項目に、これくらいお金がかかるのか」と理解しておくことです。
備えあれば憂いなし。
転ばぬ先の杖。
来たる事態に正しく備えておけば、コワイものなんてありません!
ここで挙げている項目はそれぞれ、不動産屋さん・施工屋さん・機材屋さんなどがそれぞれ専門とする分野です。
もっと詳しく知りたい!という方は、それぞれの業者に概算の見積を依頼したり、ヒヤリングをしたりしてみると、より詳しいイメージが掴めます。
開業費が分かったら、資金計画を立てる
開業にかかる費用を把握したところで、満足してはいけません。
次はどうやってそのお金を用意するのかを考えなくてはいけないからです。
冒頭でも言ったように、約1000万円の貯金があるなら、そんなに難しいことはありません。
しかし実際には難しいでしょう。
そうすると、お金を借りる必要がありますよね。
どこから借りるのでしょうか?
1000万円全額借りる?
どうやって返す?
このあたりを整理するのが、資金計画です。
次の記事では、資金計画について詳しくご説明します。
『超シンプル!整骨院開業の資金計画を、先輩院長が簡潔に解説』