競合店にお客様を持っていかれあなたの院の、新規患者さんの割合はどのくらいですか?
以前に、「リピーター客が利益を生む」という内容の記事を書きました。しかし一方で、リピーター客だけに依存していては、経営は間違いなく立ち行かなくなってしまいます。何故でしょうか?
それは、「お客様は必ずいつか来なくなるから」です。考えてみれば当然ですね。
施術が不要になる、引っ越す、病気になる、経済状況が変わる、など、理由はいくらでもあります。新規患者を安定して獲得できていないと、ここで大きな打撃を受けてしまいます。
新規患者の獲得がなかなか上手くいかない、と思っている方は、是非この記事を読んでください。
- ・新規患者を獲得できない理由
- ・新規患者を獲得する方法
をそれぞれきちんと説明します。
上記の「リピーター獲得の方法」と併せて実践することで、安定した顧客基盤をつくりましょう。
目次
新規顧客を獲得できない理由
まず始めに、なぜ新規患者さんを獲得できないのか、その理由を分析する必要があります。
各院それぞれの事情はあると思いますが、以下がよくある原因です。当てはまるところはありませんか?
現状を正しく自覚できれば、効果的な対策を打つことができます。ご自身を厳しい目で見てください。
地域での認知度が低い
全てのビジネスは「認知」から始まります。
何はともあれ、まずは存在を知ってもらわないことには、お客様は絶対に増えません。
治療院の数はコンビニより多い、というのはよく言われることですね。あなたは、自分の街のコンビニを、一軒一軒、意識しているでしょうか?ほとんどの場合、素通りしていませんか?
整骨院も同じで、皆さんは毎日目にしていながらも、その存在に気付かず、素通りしていると考えて間違いありません。しかもコンビニよりもはるかに利用者の層は少ないですから、なおさら認知は低いことでしょう。
お店を構えているだけでは、そこに存在していることすら気付かれない、と覚えてください。積極的なアピールがなければ、お客様は増えません。
競合に負けている
すぐ近くにお店を構えているのに、あちらの整骨院ばかり繁盛して、うちには全然お客さんが来てくれない…。
これもよくある状況で、競合店に負けてしまっているケースです。特に最近では、格安リラクゼーション系のチェーン店が乱立し、市場が大きく変わっています。
ている、と感じたら、まずその原因を分析しましょう。向こうにあって、こちらにないものは何ですか?
競合店を視察することは絶対に怠ってはいけません。ご自身か知り合いに頼んで、気になるお店は全て直接訪問してみましょう。
ここで一つ注意があります。絶対にやってはいけないのが「競合店の真似をすること」です。
研究して吸収し、自院に合う形で改善するのは良いですが、後追いで丸々同じことをしては、必ず失敗します。
以下に、その理由を詳しく書きます。
自院にいくべき理由を示せていない
「向こうにあって、こちらにないもの」。これが、競合に需要を持っていかれる原因だとお伝えしました。
これを分析したあとは、逆に「こちらにあって、向こうにないもの」が何か、しっかり向き合って考えてみましょう。これこそが、あなたが競合から需要を持ってくるための鍵になります。
低価格をウリにしている大型チェーン店に価格で勝負を挑んだとして、勝算はあるでしょうか?100%ありませんね。
そのようなお店に集まるお客様は、「低価格であること」を重視している層ということになります。その顧客層は、もうチェーン店に任せてしまえば良いのです。そこを取りに行く必要はありません。
あなたの院のウリは何ですか?他店がすぐには真似できないポイントはどこですか?それを、積極的に発信する必要があります。そして、その「ウリ」を求めている顧客層に的を絞って、集客しなければなりません。
新規顧客を獲得する方法
新規患者を獲得できない原因を分析することで、以下のポイントが基本であると分かりましたね。
- まずは存在を知ってもらい、
- 競合に勝てる/競合しない領域で、
- ・自院の強みを打ち出して、
- ・最適なターゲットを獲得していく
次は、実際に情報を発信し、新規患者を獲得する具体的な方法を、それぞれのメリット・デメリットを含めてご紹介します。
注意:柔道整復師法の定めに従い、遵法の広告を作成してください。
リスティング広告
概要
リスティング広告とは、インターネットのGoogleやYahoo!などで検索したとき、検索結果のページの上部、もしくは右部に表示される広告のことです。
広告を表示する回数や頻度を、予算に応じて自由に調整できるのが特徴です。
インターネットをよく利用する層に発信するのに適しています。
メリット
「〇〇市 整骨院」など、関連が深い、特定のキーワードで検索をした人に対してのみ、広告を表示することができます。ターゲットを絞って表示できる上、「1回クリックされる毎に課金」という方法もあるため、無駄のない投資が可能です。
デメリット
運用には、一定の知識や勉強が必要です。また、一度出したら終わりではなく、日々の動きを観察し、調整する作業が発生します。
これが自身で出来ないと、代理店に依頼をすることになります。追加の費用がかかってしまうため、高く付いてしまうケースもあります。
地域情報誌
概要
市区町村ごとに、地域の店舗や企業の情報をまとめて掲載、発信している紙媒体です。
無料で読める「フリーペーパー」の形をとっていることが多く、駅やコンビニに置いてあったり、住居のポストに投函されたりします。
広告掲載費を支払い、一定の紙面スペースに記事を載せてもらいます。
メリット
地域密着型の媒体なので、確実にターゲットとするエリア内で発信されることになります。掲載手続きも簡単で、多くの場合、低価格です。
情報誌自体が有名である場合、「〇〇に載った」というイメージが付加価値になります。
クーポンなどの発行も効果的です。
デメリット
読者があまり多くないことが考えられます。あなたは、自分の地域の情報誌を読んだことがありますか?
また、掲載スペースが限られるため、情報量はどうしても少なくなってしまいます。大量の他の広告の中で埋もれず、少ない情報からお問い合わせへ結び付けるテクニックやセンスが必要です。
ポータルサイトへの掲載
概要
多くの情報を1つに束ねて、まとめて発信するウェブサイトのことを、ポータルサイトと言います。インターネットの入り口の役割を果たします。
(例えば、複数社の発行するニュースをまとめて読めるウェブサイトなどは、「ニュースのポータルサイト」ということになります。)
全国の治療院の情報をまとめて検索できるウェブサイトもいくつか存在します。そこへ掲載費を支払い、自院の情報を掲載します。
メリット
ポータルサイトの集客がきちんとしていれば、全国規模の大量のアクセスが期待できます。閲覧するのは特定のサービスを求めている人たちですから、質の高い見込み客に的を絞ってアプローチできることになります。
デメリット
大量の情報の中に掲載されることになり、恐らく競合他店と肩を並べることにもなります。魅力ある情報発信ができないと、お問い合わせには繋がりません。
また、通常は広告費に比例して掲載情報量や掲載順位が変動するため、資金力によって広告効果に差が出てしまいます。
チラシ
概要
チラシを印刷し、新聞の折り込みや、近隣のポスティングによって配布します。
印刷から配布までを一括して担う業者さんがいるので、そこに頼むのが一般的です。
メリット
折り込みもポスティングも、地域を絞って行います。特に近隣をターゲットとする場合に有効です。インターネット系の広告と比べ、手にした人の目に留まりやすいということも考えられます。
また、比較的安価で済むことが多く、手続きも簡潔です。
デメリット
効果が「一回きり」のため、単発・短期的な反響しか期待できません。
また、ポスティングはそれ自体を迷惑だと捉える方もいらっしゃるため、印象が悪くなってしまう場合があります。折り込みは、そもそも紙の新聞を読む世帯が激減しているため、リーチ数が少なくなってしまうこともあります。
ブログ
概要
ターゲットとするお客様にとって有益な情報を発信するブログを、インターネット上に公開し、そこにアクセスを集めます。いわゆる「お役立ちサイト」や「情報サイト」をつくるイメージです。そこから自院のお問い合わせにつながるような施策を行って、集客する方法です。
専門用語では「コンテンツマーケティング」といいますので、より詳しくはインターネットで検索して調べてみてください。
メリット
一度作成されたブログは、インターネットが存続する限り、半永久的に消えることなく効果を発揮し続けることになります。広告投資をするというより、広告資産がつくられるイメージです。さらに、インターネットの構造上、記事が増えれば増えるほどその効力は強くなるため、時間と労力がそのまま反映されることになります。
また、操作と管理の方法さえ覚えてしまえば、基本的に運用は無料です。
デメリット
コンテンツ(記事内容)の質、量、更新頻度、書き方など、各ポイントに於いてアクセスを集める明確な「コツ」が存在します。これらを熟知した専門の業者もいるため、独学・自己運営で最大限の効果を引き出すことは、難しい場合があります。
自院にあった方法で新規顧客の獲得
様々な方法をご紹介していますが、これを全て取り組もうと考える必要はありません。こちらの記事でも書いたように、新規顧客の獲得は、リピート客への販売コストの5倍の費用がかかります。
自院のセールスポイントをきちんと見極め、それを求めるターゲット層に適格に情報を届けるため、最も効果的であると考えられる方法で集客を行いましょう。
例えば、高齢者層を集客したい場合、インターネットを中心としたアプローチでは、リーチする確率は高くないでしょう。ニッチで珍しい施術を提供して、広い範囲から集客をしたい場合、地域雑誌にいくら掲載しても効果は薄いはずです。
「誰に向けて広告しているのか」という意識は常に持ち続けなくてはいけません。
まとめ
利益率が高いのはリピート客ですが、新規患者を常に獲得できないと経営は安定しません。
新規患者が獲得できていないと感じる場合、
- ・認知されていない
- ・競合に負けている
- ・自院のウリをアピールできていない
のいずれかのケースが多いはずです。
新規患者の集客は、次のポイントが基本です。
- 1.まずは存在を知ってもらい、
- 2.競合に勝てる/競合しない領域で、
- 3.自院の強みを打ち出して、
- 4.最適なターゲットを獲得していく
新規患者を獲得する方法としては、
- ・リスティング広告
- ・地域雑誌
- ・ポータルサイト掲載
- ・チラシ
- ・ブログ
などが代表的です。ただし、大きなコストがかかるため、自院に合った方法に絞って取り組みましょう。
新規患者も常に獲得しつつ、リピーター化の施策を打ち続ければ、高単価で安定した顧客基盤をつくることができます。
そんなに難しいことはありません。やろうと思えば、必ずできることばかりです。是非取り組んでください。