整骨院を経営していれば、誰もが「売上をアップしたい!」と考えているはずです。
売上を上げようと思うそのとき「とりあえず広告を打つか!」と無計画に先走ってしまってはいけません。
売上アップの基本を理解せずに動いてしまうと、売上がアップするどころか、かかる時間と費用を回収することはおろか、損失を出すほどに失敗する確率はかなり高いのです。
「じゃあ売上アップの基本って何?」と思いますよね。
それをこの記事で簡潔に説明します。
大丈夫です。すぐに読めますし簡単な内容です。
あなたの人生の3分間だけ、この記事を読むことに使ってみてください。
役に立つ内容であることを保証します。
目次
「売上アップ」の基本:考え方の2本柱
まず、売上を上げる方法には、大きく分類して2つの柱があることを知っていたでしょうか。
- ・のべ来院者数を増やすこと
- ・客単価を上げること
この2つです。
世の中にはたくさんの売上アップ施策が存在しますが、そのどれもが、この2つのどちらかを実現するための手段なのです。
このことを知らずに動いてしまうと、的外れで効果のないことに貴重な時間とお金を使うことになってしまうかもしれません。
売上を上げたければ、この2つの目的を実現する色々な施策を考えていく必要がある、と理解することが最初のステップです。
「のべ来院者数の増やし方」の基本
この記事では、2つの柱のうち、のべ来院者数の増やし方にスポットを当ててみます。
もう一つの柱である「客単価の上げ方」については「売り方を変えて客単価3倍にする方法」で詳しく紹介しているので、気になる方は後で読んでみてください。
では、どうすればのべ来院者数は増えるのでしょうか。これにも、大きく分けて2つの方法があります。
- 1.来院する人を増やす(=新規顧客を獲得する)
- 2.来院する回数を増やす(=既存顧客をリピーター化する)
この2つです。
今、通ってくれている患者さんに加えて、新しい患者さんを呼び込むことができれば、当然来院者数は増えますよね。
もう一つ、既にご来院の患者さんの来院回数を増やしたり、一つの治療のあとにまた通ってもらったりできるようになれば、同じように「のべ」の来院者数は増えることになります。
来院者数を増やすには、上記1.か2.のどちらかを実現する方法を考えましょう。
新規集客が先?リピート率アップが先?
では、そのどちらから取り組めば良いのでしょうか。
「両方とも同時にやるぞ!」という気合も大事ですが、ターゲットを定めずに広く浅くの施策を行うことは、最も失敗しやすいパターンです。
取り組みには当然、時間もお金もかかります。まずはどちらかに的を絞り、集中して取り組むべきでしょう。
「で、結局どちらに取り組むべきなの?」という疑問を、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら考えてみましょう。
1. 来院する人を増やす(=新規顧客を獲得する)
メリット:
患者さんの新陳代謝を生むので、経営が安定する
デメリット:
莫大なコストがかかるので、患者さんあたりの利益率が低くなる
新規顧客を獲得し続けることは、どんな商売をするにも必要なことです。
どんな患者さんも、症状が良くなればいつかは必ず離れてしまいますから、新しい患者さんを取り込む仕組みができていないと、客離れと同時に売上は下がっていき、経営は悪化していってしまいます。
しかし、新規顧客の獲得には大変な時間とお金がかかることも知っておかなくてはなりません。
「1:5の法則」というものを知っているでしょうか。
「新規顧客を獲得するには、既存顧客に販売する際のコストの5倍は掛かる」というマーケティングの法則です。
新規顧客を獲得したければ、
- 1.まず「認知」=整骨院の存在を知ってもらう(ビックリするほど自院のことは認知されていない)
- 2.そこから「興味・関心」を持ってもらう(急を要さないことには興味も関心も持たない)
- 3.他の整骨院との「比較・検討」をされても選ばれる魅力的なオファーを準備
- 4.そしてようやく「購買行動」=来院にまでたどり着けます。
この「認知〜来院」を新規顧客に効果的に促すには、当然、広告などの費用がかかります。
せっかく新規の患者さんに来院してもらって一時的に売上が上がったとしても、そこには莫大な経費がかかっているため、患者さん一人当たりの利益率は低いのです。
2. 来院する回数を増やす(=既存顧客をリピーター化する)
メリット:
新規顧客より利益率が高く、売上と一緒に利益も上げられる
デメリット:
いつか必ず来なくなるため、依存し過ぎるとリスクが高い
一度でもあなたの整骨院のサービスを体験した患者さんは、その魅力や価値を理解しています。
その患者さんに新しい商品を紹介したり、次回の来院を促したりするのに、広告費用をかけて「認知」や「興味・関心」を引き付ける必要はありませんよね。
患者さんの中に、整骨院の魅力や先生の腕の良さが「ブランド」として出来上がっているので、来院を促すのは、新規顧客と比べてはるかに簡単です。
そして「1:5の法則」からも分かるように、一人の患者さんあたりのコストは新規顧客の5分の1で済みますから、利益率が桁違いに高いのです。
ただ、どんな患者さんであっても、様々な事情からいつかは必ず離れていってしまいます。
リピーターだけに依存する体制では、経営としては大きなリスクを抱えることになってしまうことも、同時に理解しておきましょう。
結論
「結局、どちらも大切じゃないか」と思われた方、そのとおりです。
どちらも手を抜かずバランスを心がけることが大切なのです。
しかし、この記事の主題である「どちらが先か」という問いに対しては、明確な答えが示されたはずです。
結論としては、「既存顧客のリピーター化が先」です。
もし、新規顧客ばかり集まるような状態になってしまったらどうでしょうか。
患者さんが離れていっても、次から次に新しい患者さんが来てくれます。しかし、リピーター化を進める仕組みがないため、そこには常に莫大なコストがかかり続けます。
つまり、どんなに売上が上がっても、利益率が低いので経営はなかなか改善しません。
そして、広告などへの投資が途絶えると同時に、客足は途絶えることになってしまいます。
一方、リピーター化を促進する体制が整っていれば、最低限のコストで売上を伸ばすことができます。
患者さん一人あたりの利益率が高いので、売上と同時に営業利益も伸びていくことになります。そこに適宜、新規顧客を取り込む施策を打つことさえできれば、経営はどんどん安定していくでしょう。
まとめ
売上を上げたい場合、次のいずれかを実現する方法を考える必要があります。
- ・のべ来院者数を増やすこと
- ・客単価を上げること
そしてそのうち「のべ来院者数を増やす」には、次の2つの方法があります。
- ・来院する人を増やす(=新規顧客を獲得する)
- ・来院する回数を増やす(=既存顧客をリピーター化する)
新規顧客を増やすことは新陳代謝を生むことにつながる一方、莫大なコストがかかって利益率が低くなるというリスクがあります。
一方、リピーターへの過度な依存は、客離れによるリスクが大きいという面はありますが、患者さん一人当たりの利益率が高いため、売上と同時に利益を確保できるというメリットがあります。
どちらも大切ではありますが、順番としては、まずリピーター化を促進する体制を整えた上で、新規顧客を獲得する方法を考えるべきである、と結論付けることができます。
そうなると、次に出てくる疑問は「じゃあ、どうしたら既存顧客のリピーター化を進められるの?」ということですよね。その答えもちゃんと用意しています。
リピーターを増やす具体的な方法については、「リピート率をアップさせて集客力を安定させる方法|整骨院編」に簡潔にまとめています。是非読んでみてください。
整骨院の経営も「ビジネス」であり、ビジネスには基本となる考え方があります。
それは大学や、海外の有名な学者、伝説的な経営者たちが、自身の経験や研究から、既に詳しくまとめてくれています。それを利用しない手はないですよね。
経営の改善を考えるときは、無計画な思いつきで行動するのではなく、少しでも良いので、この記事のような知識を活用してみて下さい。きっとその結果は大きく変わることでしょう。