全国の治療院関係者の皆さん、こんにちは。
あさがお整骨院・あさがおパーソナルラボ、治療一筋36年、院長の加藤秀之です。
今、柔道整復師の国家資格を取ろうとしている方。
今、どこかの治療院で一生懸命経験を積んでいる方。
「いつかは、開業だ!」
と一度は考えたことがあるでしょう。
先輩として、皆さんの独立・開業を心から応援します。
柔道整復師のお仕事は、とてもやりがいのあるものです。
人の苦しみを取り除き、生活を豊かにするお手伝いをすることができます。
そして、その人の心からの「ありがとう」を直接受け取ることができます。
需要がなくなることもありません。
さらに、高齢化が進む日本においては、お年寄りが増えるにつれて需要もどんどん拡大していくことが予想されます。
既にお勤めの方であれば、良いところはたくさん見えていることでしょう。
しかし、もちろん良いことばかりではないんですね。
失敗やトラブルだって当然あります。
だからきっと、「開業したいけど、不安だな…」なんて思ってしまう方もいるはずです。
でも、安心していただきたい。
なぜか。
ある程度の失敗やリスクは、知識でカバーしたり防いだりすることができるから。
そして、このブログのように、必要な知識を親身になって授けてくれる先輩方がたくさんいるからです。
インターネットの時代になり、情報収集はこれまでと比較にならないほど簡単になりました。
整骨院の開業を目指す皆さんに役立つ情報として、私からこの記事をお送りします。
今から開業するまでの流れと、注意点や役立つ知識などをごく簡単にまとめました。
目次
整骨院を開業するまでの流れ
まずは全体像を把握することが大事です。
・自分がどこに向かって走っているのか。
・途中にどんな障害が待ち受けているのか。
これが分かれば思いっきりダッシュすることができますからね。
- ・国家資格を取得する
- ・事業計画を立てる
- ・資金計画を立てる
- ・実務経験を積む
- ・研修を受ける
- ・資金を調達する
- ・開業する場所を選ぶ
- ・院内の内装やレイアウトを決める
- ・機器や設備を揃える
- ・開業の申請手続きを行う
- ・宣伝広告を行う
ざっと見るとこんな感じです。
ちなみに、ここで書いてあることを全て覚える必要なんてありません。
何となく分かっていればOKです。
「いざ、実行!」というときになれば、またその都度、情報を集めますよね?
そのときに、それぞれの詳しい知識はまた得ればいいんです。
ここでの目的は、いざ実行するときに「え、そんなことあったの?聞いてないよ!」とならないために全体感を理解することだと思ってください。
では、開業までの流れを一つずつ、もう少し詳しく見ていきます。
関連記事:
これだけ見れば経営戦略がわかる!治療院・整体院・整骨院を繁盛させるマーケティングまとめ
国家資格を取得する
これをお読みの皆さんならこの説明は不要かと思いますが、一応。
整骨院を開業するには、柔道整復師という国家資格を持っている必要があります。
次のような流れでこの資格は取得することができます。
- ・高校を卒業する
- ・専門学校や〈柔道整復学科〉のある大学・短大などに通う
- ・受験資格を得る
- ・国家試験を受けて
- ・合格する
この資格を持っていれば、整骨院だけでなく、スポーツトレーナーとしてジムで働いたり、整形外科で働いたりすることができるようになります。
まずはこれがスタートラインですね。
ちなみに、受験者の合格率は平成31年3月の結果で65.8%。
合格者数は4,054名。
きちんと備えていれば、決して取得の難しい資格ではありません。(これから受験、という方は、自信を持って頑張ってください!)
事業計画を立てる
開業を考えたら、まず始めに事業計画を立てます。
「何それ?」って思いますよね。
簡単にいうと〈自分の持っている開業のイメージと、それを実現する方法をまとめること〉だと思ってください。
これを行う理由はザックリいうと2つあります。
1、自分自身で理解・準備することで、リスクを低減したり、スムーズに進めたりすることができるようになるため
2、資金調達をしたり協力を仰いだりする際に、金融機関などの第三者に提示を求められるため
綿密な計画が大切なんです。
具体的に「こういう内容でなければならない」というものはありませんが、次のような項目が一般的だと思うので、参考にしてみてください。
- ・開業を希望する時期
- ・開業予定場所
- ・営業時間や定休日
- ・院のコンセプトや理念
- ・ターゲットとする患者さんの層
- ・ターゲット層を獲得するための根拠や方法
- ・施術のメニューや価格設定
- ・内装や設備などのイメージ
- ・院の規模やスタッフの人数
- ・保険・実費施術の割合
- ・想定している売上・経費・利益
実際に経営を始めてみないと見えない部分というはたくさんあります。
こちらのサイト『治療院・サロン経営者のための 治療院・接骨・整体・大全集』で私の経験に基づく記事をまとめているので、目を通してもらうと参考になると思います。
資金計画を立てる
事業計画とは別に、資金計画は独立して、さらに綿密に立てる必要があります。
・開業にいくらかかるのか。
・細かい内訳は。
・その資金はどうやって調達するのか。
・お金を借りる場合、どうやって返していくのか───。
このあたりを整理します。
整骨院の開業に、いくらくらいかかるか、分かりますか?
開業にかかる費用には、だいたい次のようなものがあります。
- ・会社の設立にかかる費用
- ・物件を確保、取得するための費用
- ・内装を整えたり工事したりするための費用
- ・設備を揃えるための費用
- ・広告宣伝費用
- ・人を雇う場合、その採用費や人件費
- ・当面の自分の給料や施設のランニング費用
これを合わせると、だいたい全部で数百万円~1000万円くらいです。
このお金をどこから・どうやって調達して、借りる場合はどうやって返していくのか。
できるだけ細かく計画すると、あとが楽です。
実務経験を積む
実力がないと開業しても成功できないから、ということもないとは言いません。
しかし、実務経験が必要な理由は他にもあるんです。
受領委任払制度というものがあります。
保険施術を受けた患者さんが、窓口で保険適用の分の施術料金しか支払わなくて良くなる制度です。
これがないと、患者さんはいったん窓口で料金の10割を支払い、自分で保険者に請求をして保険適用分を返してもらう手続きをしなければなりません。
そんな整骨院、イヤですよね。
この制度の届出を行うにあたり、〈施術管理者〉になる必要があります。
そして、この施術管理者になるためには、実は実務経験が3年以上必要である、という制限があるんです。
資格と取ったら、まずはさっそくどこかで働かせてもらいましょう。
研修を受ける
さらに、施術管理者には、もう一つ必要なものがあります。
それが、2日間の施術管理者研修の受講です。
詳しくは、厚生労働省の資料をチェックしてみてください。
ちなみに、「自分は、すべて実費診療だけでいくんだ!」という場合はこのあたりは不要ですので、それも選択肢の一つではあります。
自費化は、実はけっこうオススメだったりします。
詳しくは下記の記事を読んでみると面白いと思います。
『もう保険診療には頼れない!確実に生き残るための〈自費化〉のススメ』
資金を調達する
開業に必要な1000万円前後のお金をどのように用意しますか?
もちろん、コツコツと自腹で貯金をして全て集められたら素晴らしいことです。
ただ、そんな大金を貯めるのはなかなか大変ですよね。
そこで、日本政策金融公庫や銀行・信用金庫からの借り入れも検討します。
設備については、買取ではなくリースという選択肢もありますね。
一般的に、医療機器の投資額を除いた30%程度を自己資金でまかなうケースが多いようなので、ひとつ参考にしてみてください。
ちなみに、高額の医療機器に投資することが成功の近道だと思っていませんか?
まったくそんなことはありません。
本当に大切なことは、他のところにあるんです。
私の実体験をまとめた記事『全て実例!整骨院の経営で失敗したコトから上手くいった施策』を読んで、私の失敗から学んでみてください。
開業する場所を選ぶ
整骨院は、マンションの一室から開業することもできます。
つまりロケーション選びの可能性は無限大というわけです。
しかし、侮るなかれ。
物件の取得はもっともお金がかかる項目の一つですし、集客という観点ではとても大きな影響力を持つ要素です。
じっくりと、しっかりと検討して場所選びは進めましょう。
次の記事の中でも、立地選びのポイントを簡単に整理していますので、見てみてください。
『治療家なら知っておきたい確実に売上を拡大させる『分院戦略』』
院内の内装やレイアウトを決める
優れた整骨院の条件として、卓越した技術というのは欠かせないでしょう。
ところが、技術に頼ってばかりいては、繁盛店にはなれないんです。
私はよく「患者さんの目線に立って考えることが大切だ」と言っています。
患者さんの気持ちになって考えたとき、優れた施術の技術は、正直〈大前提〉でしかありません。
そこから患者さんの「まだ居たい」、「また来たい」を引き出してファンになってもらうには、全体的な気持ち良さが必要なんです。
それはスタッフの態度だったり、院内の清潔さだったり、ちょっとしたレイアウトの気配りだったり、そういう部分が決定づけるものなのです。
心を込めて、患者さん目線に立った内装やレイアウトを、これでもかと考え抜きましょう。
機器や設備を揃える
計画はできているので、あとは実際に設備を整えていきます。
コンセプト、資金、ターゲット層、施術メニューなどによって、必要なものは大幅に変わってきます。
先ほども言ったように、必ずしも高い機器を揃えるのが優先事項ではありません。
特に高額の医療機器なんかを導入しようと考えている場合は、必ず自分で実際に体験してから検討するようにしましょう。
開業の申請手続きを行う
整骨院を開設したら、そのあと10日以内に必要な書類を揃えて、地域の保健所で申請の手続きを行いましょう。
他にも、受領委任払制度を使って保険施術を取り扱う場合には、厚生局へも別途の届出が必要になります。
さらにさらに、公務員や、自衛隊員など防衛省関係の患者さんの保険を取り扱うには、それぞれの管轄機関にも別途の申請が必要です。
揃える書類は多岐にわたるので、都度、上記の管轄機関に問い合わせてください。
宣伝広告を行う
いざ開業!と言っても地域の人たちは誰も知らないわけですから、患者さんは来てくれません。
必ずDMやポスティングなどで、地域にアピールをしましょう。
開業キャンペーンとしてお得に利用できる特典なんかを付けると、なお勢いのあるスタートが切れるかもしれませんね。
また、ウェブサイトは必ず用意するようにしましょう。
余力があれば、SNSのアカウントも作ってください。
このご時世、「インターネットで調べても出てこない」となると、一気に怪しい感じがしてしまいます。
ただし注意も必要で、整骨院の広告宣伝には厳しい規制がありますので、そのあたりの知識もしっかり付けておきましょう。
下記の記事が、きっと参考になります。
斜め読みでもよいので、目を通しておいてください。
『新患が来ない!それは地域に治療院の存在が気づかれていないことがほとんど』
『地域の整体・治療院がインターネット集客出来るようになっている理由』
『「ヒットチラシの作り方」| チラシの作り方で集客力を10倍アップ』
『いよいよウェブサイトの広告規制開始!次なる注目の集客方法〈MEO〉とは?』
『低コストでも圧倒的効果!チラシのポスティングで抜群の反響を引き出す方法』
どのくらい稼げるの?年収を知っておく
さあ、ここまで読んだあなたは、きっと開業に対する不安がかなり軽くなっているはずです。
あと一つ、知っておいていただきたいのは、整骨院を開業した先生がいったいどのくらいの収入を得られるのか、ということ。
収入は生活の質に直結し、生活の質はアウトプットの質に直結します。
継続的に、健康的にお仕事を続けて、患者さんも自分自身も幸せになるためには、ある程度の収入が必要です。
人によって求める年収は異なるとは思いますが、想定が高すぎて「え、思っていたより収入が低い!」なんてことだけは避けなければなりません。
次の記事で、一般的な収入の相場について解説します。