全て実例!整骨院の経営で失敗したコトから上手くいった施策

より良い経営のヒントを求めてインターネットを検索すると、様々な「成功例」が目に飛び込んできます。

 

「○○をして、売り上げがアップしました!」「□□で、来客数が150%になりました」など、華々しい成果はどれもとてもキャッチ―で、目を引きます。ついついそれらばかりを追いかけてしまいがちですが、ちょっと待ってください!成功に学ぶことと同じくらい大切なのが、失敗に学ぶことです。

 

どんな施策も、その本質となるポイントを理解せず、表面だけを見ていては上手くいきません。「成功例がなぜ成功したのか」を学ぶと同時に、「失敗例がなぜ失敗したのか」を学ぶことで、本当に意味のある、効果的な取り組みができるようになります。

 

幸いにして、皆さんの代わりに先に失敗をしてくれている先輩方がたくさんいらっしゃいます。

今回、私が経営するあさがお整骨院の実体験をもとに失敗例を記載しておりますので、ぜひ参考になればと思います。

 

市場の変化により、対策が必要に

柔道整復師養成施設が近年急増したことは、これをお読みの皆さんなら恐らくご存知のことかと思います。1998年に14校ばかりだったものが、ある裁判をきっかけにその設立規制が緩和され、2011年にはなんと100校を超えて103校にまで急激に増えました。

 

年間約1,000人程度だった施設の卒業生は7,000人以上にまで増えることとなり、その結果、全国の整骨院の数はコンビニを超える勢いで増え続け、現在の市場が出来上がりました。

つまり、特に1998年以前から営業している院は、「急に競合が増えてお客さんが来なくなった」という状況を体験していることになります。

 

当時は一日50人を下ることのなかったあさがお整骨院の来院者数も徐々に減り始め、一日30人になり、そのうち一日20人を切る日も出てきました。

 

こうなると「何か対策をしなければ」と考えるようになります。ここで本質を理解せずに動き出したことが、失敗に繋がっていきます。

 

失敗した施策①:「技術の向上」

売上のほとんどを保険施術に頼っていたあさがお整骨院では、来院者数の激減が売上に直撃し、「毎月の家賃が払えない」「今年は年が越せない」と胃を痛める日々を送っていました。

 

もちろんそのまま過ごすわけにはいきませんから、何かしなければならないと思ってまず取り組んだのが、「施術技術の向上」でした。(勘違いしないでいただきたいのは、技術の向上自体はとても大切なことであるということです。この失敗例の場合、その先の本質まで理解していなかったことが失敗の原因でした。詳しくお話しします。)

 

その当時考えていたのは、「競合よりも優れた技術を持っていれば、お客様はきっと戻ってきてくれる」ということでした。そのため、良い勉強会があるという情報を手に入れれば、どんなに経済的に厳しくても、仕事を休んでどこまでも出向いていきました。そうして取得した施術技術の数は、なんと30種。数十年という莫大な時間と、2000万円という大金を費やして手に入れたものでした。

 

これだけ頑張ったのだから、身に着けた技術はその日暮らしの窮状から抜け出すための決め手になったでしょうか?

残念ながら、どんなに技術を手に入れても、お客様が増えることはありませんでした。

 

失敗した施策②:「高額機器の導入」

次に私が取り組んだことはというと、高額な最新の医療機器を導入することでした。どんなに一生懸命に技術を身に着けてもお客様が戻ってこないことから、「技術よりも最新の医療機器の方が訴求力が高いに違いない」と思ったためでした。

 

当時話題の最新機器を、5年ローンで300万円借りて導入することから始まり、最終的にその総額は700万円にもなりました。

「○○導入しました!」という宣伝もかけ、常連のお客様にも勧めてみたのですが、結果は残念なものに…。借金した金額は取り戻すことができず、しかもつい最近売却するまでの長い間、機器は院の片隅で埃をかぶっている始末でした。

当然、この取り組みによっても、お客様を増やすことはできませんでした。

 

取り組みが失敗した原因とは?

施術技術の向上も、高額医療機器の導入も、それ自体はどちらも大切で、意味のある取り組みです。にも関わらず、なぜ私はお客様を増やすことができなかったのでしょうか?

 

それは、きわめて単純な「本質」を見落としていたから、に他なりません。その本質とは、「お客様の求めているものを提供すること」、ただそれだけです。

 

Step1.お客様が減ってしまった

Step2.それは、お客様の求める者を提供できていないからである

Step3.では、お客様の求めているものを提供しよう

Step4.お客様の求めているものとは、何だろうか

 

このうち、「お客様の求めているものとは、何だろうか」を正確に理解することを怠ったのが、私の失敗の理由でした。お客様が求めていたのは高い施術技術や高度な機器そのものではなく、施術による結果、効果、満足感だったのです。

 

ただ単に施術技術を向上することや、高額な医療機器を導入することは、地域ユーザーの声を反映したものではなく、自己満足でしかなかったのですが、そこに気が付くことができませんでした。

 

さらに、「最新」の機器の商品価値は、年々少しずつ減少していくものだということも、当時は考えていませんでした。目先の効果に捕らわれて、計画的な投資ができていなかったのです。

「貴院のお客様」が求めていることは何ですか?

 

失敗から得た教訓 本当に大切なものとは?

繰り返しになりますが、施術技術の向上も、医療機器の導入も、きちんと本質を理解して取り組めば、とても効果的な施策になり得ます。大切なのは、「何をするか」にとらわれることなく、「何のためにするか」を常に意識し続けることです。

 

現状を打開したいと思った時に必要なのは「経営」の目線なのです。

お客様を集めることは、整骨院に限らず、広く「マーケティング」の領域です。お客様が本当に求めているもの=結果、効果、満足感をその都度リサーチし、そこで分析したニーズに合わせた商品開発を怠らないことが求められています。

 

その上で、生涯なくなることのない施術技術や、高い効果の期待できる高額医療機器を導入し、お客様のニーズを実現する手段として活用することで、ようやくお客様を増やすことに繋がるのです。

 

また、窮状を打開するという目的を経営の目線から見れば、必ずしもお客様を呼び戻すことだけが方法でないことも分かります。補助金の獲得や公金の活用をすることで、余裕を生み出すこともできるようになります

 

その日暮らしの生活の中では、なかなか冷静に考えることも難しくなってしまいます。私のように結論に飛びつこうとせず、まずは落ち着いて考える環境を整えるようにすることも大切です。

 

私は、たくさんの失敗から、多くのことを学びました。そのおかげで、今では成功法則を伝える資格を得て、こうして皆様に情報を発信するに至っています。

 

業界にはこのようにたくさんの「失敗の先輩」がいます。きらびやかな成功例ばかりに目を奪われて本質を見失わないよう、こうした失敗談からもしっかりといろんなことを感じ取ってほしいと思っています。

 

まとめ

私が経営するあさがお整骨院では、市場の変化によって急激に来院者数が減ってしまい、突然その日暮らしの厳しい状況に陥ってしまいました。

 

胃を痛める毎日の中で冷静に考える間もなく、自分の中だけで判断した結果、「施術技術の向上」と「最新高額医療機器の導入」に莫大な時間とお金を投資しました。

しかしそれは本質を理解しない取り組みだったため、いずれもお客様を増やすことには繋がりませんでした。

 

そこから学んだのは、「経営の目線を持つことが重要である」ということと、「マーケティングの意識を持つこと」。お客様が本当に求めていることをリサーチし、それに合わせた商品開発が欠かせないということでした。さらに、集客以外にも窮状を打開する方法はあるということを、今では理解しています。

 

世の中の成功例だけでなく、失敗例からも是非たくさんのことを学んでいただき、ご自身の成功に結びつけていただきたいと思います。

 

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