全国の治療院関係者の皆さん、こんにちは。
あさがお整骨院・あさがおパーソナルラボ、治療一筋36年、院長の加藤秀之です。
治療院や整体院を経営する立場にあるとき、スタッフの賃金や広告費などお金に関することで悩むことも多いでしょう。特に、患者様にお支払いいただく「施術費用」に関してはどの程度の金額設定にすればよいか悩む方も多いのではないでしょうか。
価格設定が決まることで、その治療院の営業マーケティング戦略は変わるといっても過言ではありませんので、じっくりと決めたいところ。
ここでは、価格設定の考え方や、適正価格の決め方などをご紹介していきます。
目次
集客したいという理由から価格設定を安くすることは自分の首を締めることに…
治療院を営む経営者の多くは、施術を行う「先生」であることがほとんどかと思います。
技術向上のため、新しい情報を得て日々勉強されているかと思います。ただ、私の経験上、価格設定などのマーケティングについて学ぶ機会はとても少ないのではないでしょうか?
そうしても、自身が施術を行うとプレイヤーのような気がしてしまいます。しかし、意識しなければならない事は、自分が経営者であるということです。
経営者である以上、施術に関することはもちろんのこと、経営・マーケティングについても知識を持っている必要があります。
経営やマーケティング知識がある経営者と、そうでない方では成果に大きな差が出ます。
例えば、集客をしたいからといって、近隣の競合院よりも低価格でサービス提供したとします。サービス提供初期はそれでも集客できるかと思いますが、仮に大手チェーンが進出してきて、自院より低価格でサービスを提供したとしたら…
まさに、チキンレースの開始です。
加えて、大手に比べ資金力に劣る中小規模の治療院はさらに値下げすることを強いられ、最終的には薄利に陥ることも。
大げさな例ではありますが、戦略を持たずに意識決定をされている治療家も多いのが現状です。
マーケティング力を身につけ、自院独自の価格設定を行う
では、価格はどのように決めればよいのでしょうか。
価格を決める際に重要なのがマーケティング戦略です。マーケティング戦略とは、売上を最大化させるための考え方です。
「誰に」「どのように」「いくらで」という指標のもと、自院の市場に適した場所を探していきます。
『誰に』という観点で言えば、「困っている人」という抽象的なターゲットではなく、具体的にどのように困っているかまで深掘りしていきます。
・5年間腰痛に悩まされている
・この1年は股関節が痺れるまで悪化している
・デスクワークが多いため、年々状況は悪化している
・仕事が忙しく病院に行けるのが不定期
など、お客様が抱えていそうなお悩みを具体的することで、ターゲティングが明確になります。
幅広い層にターゲットを置きたいという気持ちもわからないでもありませんが、それは大手チェーンの戦略です。
中小規模の治療院が大手と同じやり方をすると、「集客に困る」「薄利になる」「キャッシュフローが安定しない」など、リスクが大きくなりますので、まずは1点集中でターゲットを絞りましょう。
価格設定はマーケティング思考から
価格設定についてもマーケティング力が問われます。
例えば、
A院:1時間あたり6,000円の施術料
B院:1時間あたり3,000円の施術料
といったA院、B院があったとします。
仮に、月間の来客数が下記のような数字だったとします。
A院:月間来客数 50人
B院:月間来客数 100人
結果としては同じ売上なのですが、ここでのポイントは労働時間です。
A院:月間来客数 50人 x 1h = 50時間(売上:300,000円)
B院:月間来客数 100人 x 1h = 100時間(売上:300,000円)
同じ売上なのに、50時間もの労働時間の差が生まれました。
50時間となれば、サラリーマンの1週間分の労働時間よりも長くなってしまいます。この時間があれば、新サービスの企画や計画にも使える時間になります。
価格設定1つ異なるだけで、これだけ大きな影響があるということを知っている経営者とそうでない方では数年後に雲泥の差が出るのは容易に想像できます。
何でも屋は何にもできない屋!自院の立ち位置(ポジショニング)をどこにおくのか
経営していく上で、どこのポジショニング(立ち位置)を取っていくかを常に考えておくことが重要です。
ポジショニングを明確にしておくことで、自社の強みを最大限に発揮し、価格ではない差別化ポイントを作ることが可能になってきます。
- ・安く回転率の高い治療院を目指すのか
- ・じっくり高単価の治療院を目指すのか
- ・全く異なるコンセプトのポジショニングをとるのか
自院の強みに合わせて、近隣の競合治療院の状況も調査しながら整理してみてください。
「誰に」「どのように」「どんな価格設定で」自社の展開をしていくかを決めていくことは、治療院のみならず、マーケティングの鉄則です。
まとめ
ここまで、治療院や整体院を経営していく上で大切な価格設定についてご紹介してきました。
価格を下げるという戦略を取る前に、まず自院が置かれている立ち位置などを分析して適正な価格を設定してみてくださいね。